SAI建築社が提案する
暮らしと住まいの新しいサイクル
と題して定期的にお届けしている
WEBマガジン「SAIKURU」
Case 186
【佐賀県】
自分だけの居場所。
その新しい空間が、
人生を豊かに変えていく。
人生において、転機は何度もやってきます。今回、お話を伺うSさんは子育てを終えたタイミングで、その転機が訪れました。これまで暮らしてきた住まいが広すぎることもあり、住まいを佐賀市内のど真ん中から、郊外へ。そのタイミングで、姉妹が長年あたためていた夢も実現へと動き出します。理想がぎっしり詰まった新しいイエが完成し、新生活が始まったSさんに過去、現在、そして未来について聞きました。
環境の変化。
そして姉との夢を実現。
——こちらの新しいイエができるまで、どちらにお住まいだったのですか。
Sさま「それまでは佐賀市内に住んでいました。実は我が家は大家族でして。子供が5人いたため、以前のイエも8LDKといった大きな物件だったんです。一人、また一人とそんなイエから巣立っていき、最後の末っ子がついに独り立ちしたので、イエが一気に、ガランとしまして。1人ではさすがに持て余しますから、思い切ってその住まいを手放すことにしたんです」
——それは大きな環境の変化ですね。
Sさま「私は元々、不動産関係の仕事をしていて、いくつか土地をお預かりしていました。その中に、私にとって、とても魅力的な土地がありました。佐賀空港にアクセスがよく、近くにスーパーなど、日用品を買い揃えるのに便利な環境が整っていたんです。空港へのアクセスは、子供たちが関東で暮らしているので、帰省する際に、すごく便利なので、重要視していました。生活環境においても、これから私自身が歳をとった時、徒歩圏内に暮らしに必要な環境が揃っているエリアを狙っていたので、まさに私のためにある!と思える土地だったんです。以前の住まいが佐賀市内のど真ん中だったので、思い切った引越しにはなりますが、ご縁だと思い、私が購入することにしました」
——理想の土地と出会い、いよいよ、この先の未来に向けて、イエづくりが始まるのですね。
Sさま「そんなタイミングで、もう一つ転機があったんです。前々から姉と『いつか一緒に何かできたらいいね』と言っていたんですが、いよいよ今じゃない、と話が弾みまして。トントン拍子に話が進み、共同でエステサロンを開くことになりました。姉はずっと健康に対して意識が高く、美容はもちろん、免疫力を高めて体を抜本的によくする施術を勉強していたので、そのエステ開業を私もサポートすることになったんです。イエをゼロから建てるこのタイミングなら、店舗兼で、施術のための空間においても、私たち好みにできますしね」
——建築会社はどのように探されたのでしょうか。
Sさま「店舗兼住宅にするにあたり、こういう風にしたいという理想はあったのですが、姉妹共にエステをスタートすることは初めてなので、欲張らずに、予算をできる限り抑えたいと思ったんです。それで最初は地元・佐賀で“ローコスト住宅”を謳う会社を探してみました。エステは姉がメインで動くため、その希望や思いを尊重しようと思い、いったんまとめてみました。イエ自体は私が生活する場所なので、イエについては私が好きなナチュラルテイストを取り入れてもらおうとしたんです」
——まずはご姉妹の希望をまとめられたんですね。
Sさま「それを何社かの住宅メーカーに伝えたところ、私たちに返ってくる提案がどこも普通で。もちろんローコストを謳っている会社さんなので、私たちもそこまで期待はしていないつもりだったんですが、ピンとこなくて。しかも、希望を詰め込んだ分がベースの金額に上乗せされ、結局、全く安くなっていない(苦笑)。だったら、ある程度、お金が掛かるものだと覚悟を決め、質の高い店舗兼住宅に仕上げてもらえそうな住宅メーカーを、もう少しエリアを広げて新たに探すことにしました。早速インターネットで調べたところ、ヒットしたのがSAIさんだったんです」
——決め手になったのは、どのような点でしょうか。
Sさま「やっぱり外観のデザインですね。イエではあるんですが、エステの店舗でもあるので、商売をする以上、第一印象にあたる外観は大事だと思っていました。その点、SAIさんは文句なしでしたね。特に姉が、エステルームについては非日常の空気を演出したいので、窓は一切、無いほうが良いと言っていたのですが、その点について、思いを汲み取っていただけたのが、とても嬉しかったんです」
エステと住まいの共存を
一つひとつ形に。
——窓で印象はかなり変わりますよね。
Sさま「さすがに建築基準法上、窓を全く無しというのはできないようでしたが、本当に必要最小限に留めていただけました。玄関口を南側にしていて、さらに窓もほぼ無いような状態なので、ご近所さんがよく我が家の前に立ち止まって、首を傾げてらっしゃいますよ。『南向きの玄関なのに窓が無いなんて大丈夫?』と声を掛けられたこともあります。確かに常識的に考えて、住宅の南に窓が無いなんて、不思議でしょうがないですよね。姉は紫外線がほとんど入ってこないこの建物を健康の面から考えても最高!と絶賛していますが(笑)」
——まずは完成したエステルームについて教えてください。
Sさま「玄関はイエの間取りを最大限、効率的にできるように、エステの店舗、住宅で分けずに共用としました。予約制にしているので、お客様が来られたら、スマートにエステルームへとご案内することで、イエの玄関だとは感じられていないと思っています。エステルームについては、まずは窓を極力排除。そしてお客様にくつろいでいただけるよう、空間にRの曲線を取り入れてもらいました。おかげさまでとても使い勝手がよく、気持ちの良い部屋に仕上がりました」
——イエの間取りにおいても理想通りだとお聞きしました。
Sさま「限られたスペースを活かすため、SAIさんとは何度も間取りの打ち合わせをさせてもらいました。店舗部分と違い、住居については、私がずっと過ごす場所になるので、できる限り、無駄なものは置かず、居心地の良さを追求しています。
大きな点では、床などを中心に、できるだけ無垢材を使ってもらうこと。そして1F部分については天井を可能な限り高くしてもらうこと。無垢材については、やはり温かみがありますし、心が落ち着きますよね。天井は、私も含めて家族全員、身長が高いんですよ。息子は190cm以上ありますし。何人か一緒に帰省してきたときに、天井が狭いと圧迫感が出るだろうなと思って、上げられるだけ上げてもらったんです。キッチン、カウンターテーブルなども、すべて高さを調整してあります。照明もペンダントライトではなく、埋め込み式のダウンライトに統一してもらっているので、より広さが際立ちますね」
ずっとここにいたい。
そんな場所をイエに。
——そして、なんといってもSさま念願の“ブックヌック”ですね。
Sさま「そうなんです。昔から本が大好きで、これまでに何度も図書館の横に空き家がないか探したほど、本と共に人生を歩みたいと思っていました。夢が叶うなら、図書館に住みたいとまで思っていましたから。そんなことは夢のまた夢。そう思っていた時、ブックヌックの存在を知りました。本来、ブックヌックは本棚に置けるミニチュアのジオラマなんですが、イエの中にブックヌックのような空間を作りたいと思ったんです」
——ブックヌックの配置場所から悩みに悩まれました。
Sさま「本当に悩みましたね。本に包まれて、籠っているようなイメージにしたかったので、SAIさんと綿密に打ち合わせをしました。最終的に2Fに上がるための階段の下にできるデッドスペースを活用できないかという方向性で話を進めました。ただ、その場合、階段幅だと、本当に窮屈な空間になってしまうかもと心配していたんですが、SAIさんからのご提案で、ブックヌックに必要なスペースが確保できるよう、階段から迫り出すような形で幅を拡張してもらったんです。
ブックヌックの内部においても、壁面、頭上のスペースを上手く活用してブックシェルフや収納棚を作っていただき、とても満足しています。包み込まれるような空間なんですが、私がちょっと立ち上がっても頭を打たないくらいには頭上部分が広くとってあり、大袈裟かもしれませんが、ずっとここにいれる、という場所になりました。」
——これからの人生において欠かすことができない場所なのですね。
Sさま「もうこのブックヌックなしの生活は考えられないですね。大好きな本とじっくり向き合えることが、何よりの贅沢だと思っていますから。お気に入りの空間ができたことで、本を読む時間自体も、以前よりもグンと増えました。私だけの居場所ができたような気がして、心から気に入っています」
——イエができたことで心境の変化もあるかもしれません。何かこれから始めたいことなどありますか。
Sさま「今は全然ありませんね。本当に大満足。思えば、設計を担当してくださった岩倉さんとの打ち合わせも楽しくて、打ち合わせ自体が楽しい思い出になっています。あれをしたい、これをしたい、そんな楽しい話をとことんできるんですから、楽しくないわけがありませんよね。最終的には用もないのに、近くに来たからと会社に寄らせてもらったり。気軽に何でも話せる関係が築けたからこそ、大満足なイエに仕上がったんでしょうね。
階段下にルンバの基地を作っていただいたり、洗面台が座って使えるようにしてもらったり、細かな点まで配慮してもらったおかげで、どこにも直したい箇所がないんですよ。大好きなウィリアム・モリスの壁紙を眺めながら、今日はどの本を読もうか考える時間が、とても幸せです」
House Producer
SAI建築社
設計部 ディレクター
岩倉 貴志
お二人のパワーに圧倒されながらも楽しく打合わせができました。
限られた1階の空間にたくさんのやりたいことを詰め込むことに苦心しましたが
それぞれのこだわりの空間を一つ一つ広さや高さ、使い勝手をみなで検討しながら打合わせを重ねた結果
大満足という言葉を頂き大変うれしく思います。
今回取材させていただいた
S様邸の写真は
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前号 vol.185をご覧いただくには
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今月の一杯
【佐賀県・佐賀市】
幸陽閣(こうようかく)
色艶いい生卵が
トレードマークの
佐賀きっての重厚とんこつ!
いわゆるラーメン店っぽくない店構え。暖簾もない。そして看板もすごく控えめ。実はこの「幸陽閣」は元々、焼肉店だったんです。
先代の店主が脱サラして開いたラーメン店「幸陽軒」は、その味の良さで知られ、深夜にも客足が絶えない人気ぶりでした。店主が高齢のため、ラーメン店の営業はいったん断念。昼主体の営業に切り替えるべく、焼肉店を新たにスタートしたのですが、常連客たちの「またラーメンが食べたい」という熱意に背中を押され、最終的には焼肉店でありながら、ラーメンも出すように。そうなると焼肉とラーメン、両方の営業は困難になり、最終的に選んだのがラーメンでした。現在は先代からの味を受け継いだ義理の息子さんが暖簾を守り、変わらない行列の光景を作っています。
昔はテーブルに無煙ロースターがあり、いかにも焼肉店といった店内でしたが、久しぶりに訪れると、テーブル席に変わっていました。席の間隔はゆっくりととってあり、老若男女問わず、快適に過ごせます。
ラーメンはワイルドな香りが信条。丼たっぷりに注がれたスープから立ち上る香りにまずは少し、酔いしれてみる。たまらないなとレンゲですくい上げれば、ほんのりと赤みを帯びた茶褐色の、その表面に豊かな脂がもたらす光沢が浮かび上がりました。
豚骨100%でとったスープのとろみのある感触も具合がよく、すぐさま麺をたぐります。中太のストレート麺にスープが絡み、見事なまでの一体感。ズバッと啜ってみると、口の収まりもよく、やっぱり最高だと思わず膝を打つ。
替玉はなし。ご飯か、麺の大盛りでお腹を満たしましょう。ラーメンに盛られた豚モモ肉のチャーシューは麺にはもちろん、ご飯も進みますよ。
個人的に外せないのが、やっぱり生卵のトッピング。まろやかな卵のコクが加わり、スープに奥行きがでます。
佐賀郊外の大人気店、ぜひお出掛けください。
【住所】佐賀県佐賀市下田町3-31
【電話】0952-24-5084
【営業】11:00~15:30(OS15:00)、18:00~21:30(OS21:00)
【店休】月曜
【P】あり
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レッツゴーサイクル
ラブラドール犬のサイクルと建築士のケンちゃんが
繰り広げる微笑ましい暮らしぶりをお楽しみください。
【Kanac 】プロフィール
イラストレーター。Web漫画を描いたりwebサイトを作ったりしています。
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