ライフスタイルマガジン

vol.

#コラム

SAIKURU Vol.185 信頼できるパートナーだからこそ 共に歴史を積み上げていける。

TOPページWEBMAGAZINE SAIKURUSAIKURU Vol.185 信頼できるパートナーだからこそ 共に歴史を積み上げていける。

SAI建築社が提案する
暮らしと住まいの新しいサイクル
と題して定期的にお届けしている
WEBマガジン「SAIKURU」
 



Case 185
【福岡県・糸島市】

信頼できるパートナーだからこそ
共に歴史を積み上げていける。


周囲に広がるのどかな田園風景。この糸島の地に歴史ある酒蔵があるのはご存知でしょうか。明治3年の創業以来、この地で酒づくりを続けてきたのが「浜地酒造」です。

糸島といえば、昔から質の高い酒米、脊振山系がもたらす豊かな伏流水で知られます。そんな大地の恵を生かし、酒を醸してきました。「浜地酒造」といえば、なんといっても代表作の「杉能舎」。そして日本酒づくりに加え、いち早くビール製造免許を取得し、地ビールを製造し、その味の良さでも評判を呼びます。甘酒、リキュールづくりにも率先して取り組み、それらもまた、高い評価を得るという、まさに酒づくりにおけるパイオニアです。

SAI建築社では、そんな福岡が誇る「浜地酒造」のリノベーションにおいて、長年、施工部分をサポートしてきました。
「酒蔵のリノベーション」をテーマに、代表・濱地浩充さんに話を伺います。

 

未来を見据えて、
先に手を打っていく。


——「浜地酒造」といえば福岡を代表する歴史ある酒蔵です。濱地さんはいつから蔵に入られるようになったのでしょうか。


濱地さま「40年くらい前ですかね。私は5代目になるんです。今でこそ、日本酒づくりをメインに、地ビール、甘酒、リキュールといったようにさまざまな分野にチャレンジし、幅広いお客様から喜んでいただいていますが、決して順風満帆ではありませんでしたね」

 


——ヒット作も多く、とても順調そうに見えていました。

濱地さま「一番大きかったのがオイルショックです。日本全体の景気がガタンと落ちました。そもそも日本酒自体、年々消費量が下がってきていて、日本酒をこれからどうやって売っていかないといけないのか、と頭を抱えていたところに、景気自体の悪化によって、背水の陣のように、もう四の五の言っていられなくなったんですよ」
 


——シンクロナイズドスイミングのようですね。水上は絶え間ない笑顔なのに、水中の足は絶えず激しく動く、といったように。

濱地さま「どう生き残るか。そんなサバイバルの中で戦ってきたような感覚です。私に与えられた役割においても、酒づくりをしっかり守ることは大前提として、やはり営業活動ですね。常に今の時代、これからの未来を見据えて、先に手を打っていく。27年くらい前に福岡でいち早く地ビールに着手したのも、そういう背景があったんですよ。どうやったら売れるものをしっかりと生み出していけるか。もちろん今も常にそのことは考えています」
 


 

——そんなお酒を取り巻く環境が激動する中で、もう一つ、問題が生じたそうですね。

濱地さま「歴史ある酒蔵ならどこも直面する、建物の老朽化です。年々、どこかしらが傷んでいくので、ほったらかしにはできません。日本酒でも、ビールでも、売れるようになるほどに、この酒蔵の建物へと人が集まることになります。そうなると単純に放っておいても経年によって悪くなっていくところが、さらに加速してしまうことになってしまうんです。

そんな中で常に支えてくれたのがSAI建築社さんだったんですよ。出会いは、酒蔵のリノベーションをされている先生からのご紹介でした。その先生からの推薦というだけでも安心できたのですが、SAIさんは日本伝統の大工の技術をしっかりお持ちだという話がありました。そこでもう、間違いがないな、と。

私たちの蔵もそれなりの歴史があります。古いものだからこそ、単純に新しくするのではなく、重ねてきた歴史をしっかりと踏まえ、その延長線にあるようにしたいとお話しました。以来、信頼のおける施工でのパートナーとして、長年にわたってお付き合いをさせてもらっています」


 

積み上げてきたからこそ
歴史は脈々とつながっていく。


——歴史があるからこそ、大切に守っていきたいというお気持ちですね。

濱地さま「例えば、この『蔵の間』を改修してもらった際にはテーブル、壁、至るところに可能な限り、使わなくなった酒樽を再利用していただいたんです。

酒樽もいつかは何かの役に立つかもしれないと思い、バラして、保管していました。なんだかんだで100年以上も前のものですが、きちんと保管していたこともあり、問題なく使っていただけて。改修が終わった時、なんだか昔からそこにあったかのような空気だったのをよく覚えています」



——そんな「蔵の間」も、この度、リノベーションすることになりましたね。

濱地さま「そうなんです、今年から来年にかけて、ちょうど1年間を目処に、工事に取り掛かる予定になっています。完成は2025年の秋から冬にかけてでしょうか。この『蔵の間』は現在、休憩、ちょっとした食事などに使えるゆとりのスペースになっています。

これを、緑に囲まれた気持ち良いロケーションの中、食事をゆっくりと楽しんでいただけるようなガーデンレストラン『酒蔵ガルテン』として生まれ変わらせます。

現在、ドイツでパンづくりを学んでいる三男がそろそろ戻ってくるので、彼にこのレストランを任せることになっているんですよ。建物の骨組みだけを残すくらいの大規模なリノベーションになる予定ですが、その点においては、九州大学さんとのご縁から、耐震、構造面について設計をお願いすることになっているので大船に乗った気持ちです。

60席くらいになる予定で、今後は会議などに活用できるコンベンションルームとしての役割も担っていく見通しですね」
 


 

——「酒蔵ガルテン」が完成すると、そこから続くお酒類のショップ、ギャラリーといった本館部分の動線がさらに生きてきますね。
 



濱地さま「本館部分の奥にあるギャラリーは2024年3月に生まれ変わったばかりですからね。元々、老朽化していた旧倉庫の解体、そこに付随して新倉庫の新築を進めていました。

そんな中で、新倉庫部分の一角でも試飲できるようにしたいと考え、検討を重ねました。最終的には、この部分が昭和の時代まで酒米を蒸す『釜場』だったことに注目し、倉庫内に取っておいた釜をメインに据えることで、『釜場ギャラリー』が誕生しました。


 

——「釜場ギャラリー」には新しいのに、懐かしい空気が流れています。

濱地さま「それはきっと旧倉庫に残っていた什器類や解体の際に出た古材がうまく再利用できているからでしょうね。倉庫の柱はベンチに、酒樽の板は壁材に、酒袋は暖簾に、といったように、歴史あるものをしっかり活用できたからこそ、懐かしさにつながっているのだと思います。

新しい場所ではありますが、元々あるショップとも違和感なく調和していると、とても満足していますよ。ここは試飲だけが目的ではなく、あくまでギャラリーとして弊社の歴史を伝える場でもありますから、プロジェクターやパネルによる展示も行っています。時には地域のためのギャラリーとしてアーティストの作品を公開する場にもなればと考えています」


 

時間は流れていく。
だからこそ、誰と歩むか。


——敷地内には新しい倉庫も完成し、業務においても益々、円滑になったのではないでしょうか。


 

濱地さま「そうなんです。この倉庫においては新築になりますね。元々の建物を生かすことはもちろんですが、そればかりを考え続けると限界がありますから。ただ、歴史ある建物との調和はもちろん、そういう古いものと併せて使用していくわけですから、そこはスムーズにつながりを持たせたいと考え、積極的にバリアフリーを取り入れました。

母の居住空間においても、同様の考えですね。日々の暮らしが楽になるよう、さまざまなアイデアを採用しています。特に一枚板のスライド式引き戸はとても気に入っていますよ」



——進行中の「酒蔵ガルテン」の工事もそうですが、常に敷地内のどこかに手を入れながら、これまで歩み続けてこられたのですね。

濱地さま「時間は常に流れ続けていますから、建物の老朽化とはこれからもずっと付き合っていかないといけないでしょうね。ビアテラスのほうもSAIさんにリノベーションしてもらって結構経ちますし。ただ、そういうあれこれを考える中でも、SAIさんと巡り会えたのは、とても幸せなことだと思っているんですよ。

なんといっても日本伝統の大工の技術がある上に、小回りが効き、昔気質の信頼できる職人さんばかりですから。ついこの間も悪天候の際に壁が落ちてしまったんですが、そんな時、真っ先に現場に来てくれました。今日、もっと言うなら困っているこの瞬間に、動いてくれる。このことに勝る信頼はありませんよ。

何事も人と人。そういう確かな関係が築かれていると思っています。付き合いも長いので、趣味を分かってくれていることも、ありがたいですよ。あれこれ言わなくても、バシッと提案してくれる。どんな風に『酒蔵ガルテン』が仕上がるのか、完成が楽しみでなりません」
 

 

 

House Producer

SAI建築社
リノベーション事業部 部長
友納 宗一

当社の理念でもある、「いちどのであい、いついつまでも」
濱地さまとのお付き合いもいつまでも続けていきたいと思っております。
「酒蔵ガルテン」の工事もこれから進んでいきますので
ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが
今後とも末永いお付き合いをよろしくお願いします。
 

 

今回取材させていただいた
浜地酒造様の写真は
実例ギャラリーにてご覧いただけます。
こちらをタップ

 

前号 vol.184をご覧いただくには
こちらをタップ



WEBマガジン化にあわせ
SAI建築社の「LINE公式アカウント」を
公開いたしました。


WEBマガジン「SAIKURU」の発行のお知らせや、新しい施工写真などの公開のお知らせがすぐ皆様に届くよう、「LINE公式アカウント」も公開しました。ぜひご登録をよろしくお願いい たします。

友だち追加


お問い合わせは
こちらをタップ

株式会社SAI建築社
・フリーダイヤル:
 0120-313148
(サイサイシアワセ)
・Tel :092-874-7385
・Fax:092-874-7386

 

資料請求は
いつでも気軽に!
こちらをタップ


 

ヌードルライター山田がススメる
今月の一杯

 

【福岡市・田隈】
博多ラーメン げんこつ

もっと早くに出会っていたかった。
そんなことを思わせる
無化調とんこつの名店。


福岡市・田隈。ラーメン好きなら、このエリアでピンとくるのが「ふくちゃんラーメン」ではないでしょうか。ぼくも昔から通っていた福岡が誇る名店。だからこそ、「げんこつ」さんのチェックが遅くなってしまいました。本当にこのことは自分の中で後悔中の後悔。もっと早くに出会っていたかった。思わず、そうつぶやいてしまいます。

創業は2006年。いかにも職人肌に見える店主、そしてフレンドリーな接客で場を和ませてくれるスタッフのお兄さんという二人体制で営業しています。
店主は元々、ラーメンが大好きで、いろいろな店へ食べ歩きしていたそうです。そんな中、徐々に自身の好みのラーメン、つまり理想のラーメンが分かってきましたが、それが存在しないということも分かってしまいました。それならば自分でやってみよう。数店のラーメン店で修業し、満を持して店を開きました。
 


この店で出されているラーメンは、店主の理想形。第一に福岡らしいとんこつスープであること。合わせるのも王道の細ストレート麺。そして、ここが他店との大きな違いになりますが、無化調。この三拍子が揃うことで、「げんこつ」の一杯となります。



提供された一杯は一見するとなんの変哲もないラーメンに見えます。そして、そのファーストインプレッションは間違ってはいません。スープは高濃度で、飲み進めるほどに、次の一口がほしくなります。しっかりと炊き込まれたであろうことは舌が理解しているようで、どんどんスープが減っていきます。

店主は和食の経験もあるそうで、そのおかげもあってか、元ダレの効かせ具合が絶妙。合わせる麺は地元の製麺所とともに試行錯誤した特注で、小麦の風味が噛み締めるほどに立ち上がってきました。長さにおいてもズバッと啜り上げたときの収まりがよく、申し分なしです。そして食べ終えた時が、クライマックス。なんという後味の良さ。

唐揚げ、コロッケ、餃子、焼き飯などのサイドメニューにも定評があり、セットも大人気。特に唐揚げはとんこつスープを味付けに使うこだわりの一品で、いつもついつい注文してしまいます。

まだ未食の方は、ぜひ一度。その後の人生が、ぼくのように変わってしまうかもしれませんよ。


【住所】福岡市早良区田隈1-10-7
【電話】092-874-1396
【営業】11:00~22:30頃
【店休】月曜
【P】あり

google map



 

4コマ漫画
レッツゴーサイクル

ラブラドール犬のサイクルと建築士のケンちゃんが
繰り広げる微笑ましい暮らしぶりをお楽しみください。

今回も一挙2話掲載!


 

【Kanac 】プロフィール
イラストレーター。Web漫画を描いたりwebサイトを作ったりしています。
Instagramはこちらをタップ

 

WEB MAGAZINE SAIKURU