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#コラム

SAIKURU Vol.184 循環型の観点から決めた CLTセルユニットによる新館増設

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SAI建築社が提案する
暮らしと住まいの新しいサイクル
と題して定期的にお届けしている
WEBマガジン「SAIKURU」

Case 184
【福岡県・古賀市】2024年4月完成
 

循環型の観点から決めた
CLTユニットによる新館増設


福岡の都心部博多、天神エリアから北東へおよそ20km。近年、JR古賀駅の駅前に広がる商店街の活性化によって注目されている古賀市。博多駅、小倉駅からの利便性も高く、暮らしやすい街として認知を広げています。

「東蘭教育学園」は古賀市舞の里にある外国人に向けた日本語学校です。年々、生徒数が増える中、当初からあった本館が手狭になってしまったことを機に、建物の増築を検討。代表の鶴石蘭さんにその経緯を振り返っていただきました。

 

エコの観点から
新館の増設を検討

 


 

——今回の増設の経緯を教えてください。

鶴石さま「この古賀市舞の里に日本語学校を立ち上げ、おかげさまで生徒さんが年々、増えていきました。これまでの本館では生徒たちの教室が4つ、そして職員室を兼ねた事務室が1つ、合計5部屋だったんです。

1教室あたりの生徒を増やしすぎると、授業の質が低下しかねません。そんな時、敷地の駐車スペースに余裕があるので、ここに新館を増設しようという考えにいたりました」
 

——生徒さんのためにも、そして教員のためにも、空間にゆとりができるのは喜ばしいことですね。

鶴石さま「そうなんです。今現在でおよそ100名の生徒が在籍しているのですが、すでにキャパオーバーの状態です。新館については教室を2部屋分、確保できればと思っていました。

最終的に新館は2階建てにし、その1階部分を事務室に、2階を教室にすることにしました。来春、生徒をもう少し受け入れられるような体制を整え、できれば50名ほど、生徒が増員できれば良いな思っています」
 


 

——その新館の新設をSAI建築社に依頼されたきっかけは。

鶴石さま「いろいろと候補はあったんですが、知人からの紹介でSAIさんのことを知りました。SAIさんのお話を聞く中で、「CLT CELL UNIT」に興味を持ちまして。着工から短期間で工事が終わるので、本館での授業の妨げになりませんし、何より、循環型資材を使っているという点に惹かれました。

私たちは学校施設を運営しています。それは生徒たちの未来に責任を持つことと同義です。ですから、新館の増設においても、きちんとこれから先の未来に向けた選択をしたいと思っていました。リサイクルできる構造体で建物を構築するという話を聞き、私たちの想いにぴったりと寄り添っていただけるなと嬉しくなったんです。

CLTは地震にも強いという説明を受けました。私は日本に来てから長い年月が経ち、この日本には地震が存在することを認知していますが、生徒たちの中にはそういう感覚がなかったり、地震自体、未体験だったり、様々です。そんな中で、やっぱり耐震面に無責任というのは、学校としての責任感を問われると思うんです。もちろんデザイン面などについても納得のいくクオリティだったので、迷わずSAIさんにお願いしました」
 


 

——新館の増設について、こだわった点を教えてください。

鶴石さま「生徒が学習に集中できるよう、極力、シンプルであることを目指しました。ただ、シンプルと殺風景は違いますから、SAIさんには居心地の良い空間づくりをアドバイスいただいたんです。特徴的なのは木の温もりを取り入れている点でしょうか。教室の入り口部分に木の枠を採用しているほか、逆サイドの教壇側はCLTの構造部分をあえて見せるようにしてもらいました。

この構造部分の木の質感が空間のアクセントになり大変気に入っています。この構造部分があるおかげで、ちょっとした教材をその裏に隠して置いておくこともできますし、やんわりと生徒と教師の区切りのような役目を果たしてくれそうで、取り入れてもらってよかったなと思っています」




 

生徒たちに集中力をもたらす
リラックスできる教室を目指す



 

——教室だからこその空間の工夫もあるとお聞きしました。

鶴石さま「例えば天井の高さが低すぎると圧迫感によって集中力の持続の妨げになりますし、窓が大きすぎると気が散ってしまいます。窓についていえば小さすぎても閉鎖感が出てしまいますから、とても重要です。SAIさんに相談しながら、ベストな大きさにできたなと思っていますよ。

あとは窓と逆側はプロジェクターを使った授業を想定し、一面を白にしてもらいました。こちら側には窓がなく、すっきりとした一面です。強い西日対策にもなっていて、一石二鳥ですね。すっきりさせるといえば、スピーカーの配線などもごちゃごちゃしないよう、処理してもらっています。後から取り付けてしまうと、配線関係がスマートになりませんから、これは新築ならではのメリットですね」


 

——シンプルでありながら、あたたかみのある空間になっていると思います。

鶴石さま「アクセントに木の風合いを入れてもらったほか、例えば床についても、検討を重ねて最終的に薄めのグレーを採用しています。これは木とマッチするよう、なるべく自然に近い色目が良いなと思い、石の質感が伝わってくるような床面にしたいと考えました。

基本的には教室なので、白を基調とした空間にはなるんですが、その中でなるべく生徒たちがここで過ごす時間が気持ち良いものになるよう、工夫したつもりです。




新館には1階、2階それぞれに独立したトイレも備えています。また、2階への登り降りについては日常的に使い込むため、鉄骨を取り入れて特に頑丈にしてもらっています。屋外から直接2階の教室に入って行けるよう、動線を外に持っていったので、鉄骨の階段には雨風の影響を受けにくくしたいという狙いもあります」


 

——学校ならではの空間における制約を解決しつつ、教師、生徒たちにとって居心地の良さを作り出したわけですね。

鶴石さま「教師をはじめ、私たち学校運営者ができるのは、環境を整えてあげることだけですから。いかに教師が一生懸命、授業をしたとしても、あくまで受け取るのは生徒たち。生徒たちがリラックスし、その上で集中できるようにしてあげるのは、私たちの役目ですよね」


——新館もできて、今後が楽しみですね。

鶴石さま「新館増設によって、本館に5つの教室、新館に1つの教室と職員室兼事務室という受け入れ体制になりました。来年度は50名の増員を目指す中、この新館の役割は大きくなると想定しています。これまで授業を行う中で教室が潤沢ではなかったこともあり、生徒の学力に応じたクラスづくりが十分ではありませんでした。

生徒数が100名を超えるとなると、例えば授業によっては生徒の中でも得意不得意があるでしょうし、高みを目指してより質の高い授業を望む生徒も自然に発生してくるでしょう。そのため、この新館の2階の教室は、いわゆる特進クラスに充てようと思っているんです」


 

——生徒たちの間でも、ますます学習意欲が増しそうです。

鶴石さま「いわゆる“カッコイイ教室”で学ぶ特進クラスの生徒の姿は、他の生徒たちのモチベーションを上げる起爆剤になると考えています。もちろん、生徒だけでなく、教員においてもより高いレベルが求められてきますし、最終的には、生徒全体の学力の底上げにつながってくると信じています。

評判になってますます生徒が増えることになったら、ぜひこの新館のテイストで、本館もリノベーションしたいですね。そうできるよう、私たちも新館の新設を機に、気持ちを新たにがんばっていきますよ」

 

House Producer

SAI建築社
設計部 ディレクター
岩倉 貴志

天井高さを確保するために、構造体を工夫し
CLTセルユニットを活用した開放的な空間を実現できました。
今回撮影できませんでしたが、1Fの事務室はお施主様の
こだわりが随所にあふれた空間になりました。
生徒の皆さんが集中して勉強できる
開放的で素敵な空間にできたと思います。
ありがとうございました。
 

 

今回取材させていただいた
東蘭教育学園様の写真は
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ヌードルライター山田がススメる
今月の一杯

 

【福岡県・春日市】
ラーメン普通

普通のことが当たり前に。
唯一無二の貝出汁ラーメンで、
その思いを表現。

 

普通——その言葉を冠したラーメン店「ラーメン普通」ができたのは2021年。まさにコロナ禍の真っ只中でした。
「普通」という言葉は、人によっては60〜70点くらいをイメージするかもしれません。ただ、その普通という響きには、ぼくはあたたかさを感じます。普通に暮らせること。それはかけがえのないことだからです。
この「ラーメン普通」という屋号には、当たり前のことを普通に、そんな店主の思いが込められています。


そんな「ラーメン普通」ですが、提供しているのは、とんこつラーメンの聖地・福岡において普通ではない、いわゆる“非とんこつ”の一杯。 看板メニューは貝の出汁を目一杯効かせた「貝出汁塩ラーメン」です。一口スープを飲めば、思わずその力強い出汁の旨みに目を見開くでしょう。脂っ気などを極力抑えたあっさり味ながら、その味わいは濃密。かえし、香味油にも貝のエッセンスを付加しているそうで、重層的な貝出汁の旨みが染み渡ります。



しかも「途中で加えてみてください」とスタッフさんから案内された別添えの小皿にはアサリのペーストが。これを投入すると、さらに貝の旨みがブースト。箸、レンゲを持つ手が止まらなくなりました。

化学調味料不使用を謳うだけあり、スープを飲み干しても、罪悪感もなければ、胃もたれもなし。気持ちの良い食後感でした。

貝出汁の塩ラーメンのほか、同じく塩ダレが決め手のまぜそば、島根県産麹醤油を生かした煮干の醤油ラーメンもあります。
これからも通い続けなければ。


 



【住所】福岡県春日市大和町4-24
【電話】092-231-0882
【営業】11:00〜15:00、18:00〜21:00※土日祝11:00〜21:00
【店休】不定休
【P】なし ※店舗の横にコインパーキングあり
【Google Map】


 

4コマ漫画
レッツゴーサイクル


ラブラドール犬のサイクルと建築士のケンちゃんが
繰り広げる微笑ましい暮らしぶりをお楽しみください。

今回も一挙2話掲載!

 

 

【Kanac 】プロフィール
イラストレーター。Web漫画を描いたりwebサイトを作ったりしています。
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