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#コラム

SAIKURU Vol.182 「集まる」から逆算して 未来につながるイエを創り出す

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SAI建築社が提案する
暮らしと住まいの新しいサイクル
と題して定期的にお届けしている
WEBマガジン「SAIKURU」

「集まる」から逆算して
未来につながるイエを創り出す

Case 182
【福岡県・早良区】2023年8月完成

早良区の一等地、西新の中心エリアの住宅街にNさまのイエが完成したのはおよそ1年前のこと。以前の住まいに暮らし始めた当初は3人だった家族も、その後、6人と2匹という大所帯に。コロナ禍での窮屈な暮らし、そして住まい自体も手狭になったことをきっかけに、戸建てのイエを検討。運命的な土地との出会いもあり、理想のイエづくりが動き出しました。今回は、そんなNさまご夫婦にお話を伺いました。

 

プロだから、と丸投げにしない
考え抜くからこそ、家族の色になる。

——元々はお近くに暮らしていたとお聞きしました。

ご主人「今のイエから徒歩すぐの場所のマンションで暮らしていました。マンションを購入した時にはまだ家族も長女だけで、こんなに大所帯になるとも思っていませんでしたから。

間取り的にもそれほど狭いという物件ではなかったものの、やはり人数が6人にもなると、さすがに無理が来まして。それでイエづくりのことを考え始めたんです」

奥様「小学校の校区の関係もあり、できる限り近くに引っ越したいという思いがありました。ちょうどそんな折、少しだけ遠い場所で土地が売りに出されていて、そこに決めようと動いていたら、結果としてあまり良い話にならず、途中で頓挫してしまいまして。

そんなタイミングで元々良いなと思っていた第一候補の土地が売りに出されることになり、そちらを購入することになったんです。本当は現在の土地のほうがいいなと思っていたので、本当に運命的な出会いだと思えました」

ご主人「先に進めていた土地がうまくいかなかった一つの要因に、ぼくたち夫婦がイエづくりについてあまり勉強していなかった点がありました。イエづくりについて、任せっきりというか、先方に丸投げだった部分があるんです。そこは大きな反省になりましたね」
 


 

——SAI建築社との出会いのきっかけは。

ご主人「妻の職場がSAIさんの本社から近くて、それでなんとなく親しみを覚えていたんです」

奥様「大きかったのは私がフォローしていたインスタグラマーさんですね。その方がSAIさんでイエを建てたと紹介されていて、それならなおさら間違いないだろうと思って。正式にSAIさんにお願いすることにしました」

ご主人「営業の赤瀬さんの存在も大きかったですね。最初の打ち合わせで、赤瀬さんから『建築会社にお任せしますというだけなのはよくない』と、親身になって、はっきり言ってもらえたのが嬉しかったんです。

自分たちで改めてイエに何を求め、どうしたいのかを考え直しました。そこから具体的に方向性を考えていきました」


 

人が集うイエにしたい
そのための環境を整える。

——コンセプトはどのように決められたのですか。

ご主人「テーマにしたのは“集まるイエ”でしょうか。私自身、親の仕事の都合もあって、幼少期からいろいろな場所へ引っ越してきました。おかげでさまざまな各地での暮らしを体験できましたが、地元の友人、といった存在があまりいなくて。逆に妻のほうは地元の大分にずっと暮らしてきたんです。

そんなこともあって、地元、昔からの友達たちが本当に多くて。地元の話題で盛り上がれるような、そんな光景が羨ましかったんです。それもあって、子供たちには友人たちと思い切り遊んでほしいし、このイエがみんなの集う場所になれば良いなと思いました」

奥様「ただ、集まる場所にしたいと一言でいっても、単純にイエが広い、というだけでは、なかなかそうはならないと思いました。だから、人を呼びやすくするための動線、空間づくりを意識しましたね」



 

——イエは最終的に3階建てになったのですね。

ご主人「私の希望で、どうしても2階にリビングを据えたかったんですね。それで敷地の広さと見合わせて、1階に主寝室と今は私の書斎的な部屋を置き、2階にリビングや浴室、トイレといった暮らしの中心を据えて、3階に子供たちの部屋をまとめるという考えに落ち着きました。

こうしてすっきりと空間の役割を整理できたので、そこからそれぞれのフロアに必要な要素、イメージを検討していきました」


奥様「子供が多いので、目が行き届くようなリビングにしたいと相談しました。以前のマンションだと、どうしても死角が多く、気が張っていたので。どうしてもキッチンに立っている時間が増えるため、必然的にキッチンがリビングの中心になりましたね。

憧れだったアイランドキッチンを軸にして、ダイニングテーブルからテレビの前の団欒スペース、3階に上がる階段、そして浴室とトイレのほうにも目が配れるようになり、本当にストレスが軽減されましたね」
 




ご主人「暮らしの中心が2階になるので、空間的にも一番、ボリュームを持たせてあります。3階建てなので3フロアからイエが構成されているんですが、1階は主寝室と書斎だけなので、このフロアに高さは不要だなと思って。

また、子供部屋が集まる3階も、子供たちだけなので高さがそこまで要らないと判断しました。結果的に1、3階の高さを削った分、2階の天井を上げられました。窓も広めにとってもらったので、とても開放的になりましたね」




奥様「マンションの頃から、子供たちだけではなく、大人も集まるイエだったので、2階の圧迫感が天井の高さを調整し、無くせたのはとても嬉しかったですね。実際に我が家の場合、大人が10人以上、そこに加えてそれぞれの子供も、というように20人近くがLDKに集まることも珍しくないんです。

今のイエになってからはキッチンを大人10人くらいで囲んでも、全然大丈夫です。ゆとりがありますね。急な来客のときにも、ちょっとモノをしまっておけるような余白がこのイエにはあるので、とても快適になりました」
 


 

集まる=窮屈にはしないために
イエに余白を用意しておく。

——おっしゃるように、完成したイエには至る所に余白があるように思います。

奥様「そうなんです。そこは工夫しました。以前暮らしていたマンションはエントランスが広くて。その広いエントランスに子供たちが集まって遊んだりしていました。そういう光景が微笑ましくて。

こういうゆとりがあると、暮らしが窮屈にならないと思えたんです。もちろんイエの中で遊ぶこともあるんですが、子供部屋の一箇所しかないというのも、なんだか制約が多いなって。それを踏まえて間取りを検討しました」


 

ご主人「大きなところでいうと、象徴的なのは玄関部分ですね。気に入っている石壁の外壁が生きるように、石壁のところに鉄の門を取り入れた外門を作り、さらに天井も設けて第二エントランスのような、イエに入るまでにワンクッションとなるアプローチを設けました。

このスペースだけでもある程度広さがあるので、ここでも遊ぼうと思えばちょっと遊べるんです。そして玄関はそもそもが6人家族なので開放的にしたいなと思っていたんですが、それを踏まえた上で、玄関のところでも子供たちが集まれるように空間にゆとりを持たせています」




 

奥様「あとはガレージも遊び場の一つになっていますね。屋根がしっかりあるので、ここも子供たちはとても気に入っているみたいです。雨の日に『今日、雨が降ってお外で遊べないから、ガレージで遊ぶね。

車は邪魔だから外に出しておいて』と言われたこともあるんですよ。車はずぶ濡れになりますが、子供たちが嬉しそうなので、まあ良しとしています」


——余白があると、暮らしにも良い影響がでますか。

ご主人「本当に、心のゆとりが全然違うんですよ。イライラしないというか、心が平静に保つことができています」

奥様「子供がゆっくり遊べるというは、つまり大人にとってはくつろげるということなので。子供を自由に遊ばせておくときも、大人たちがリラックスできるって、やっぱり全然心の負担が違ってきますから。

大人数が集まることが日常のイエなので、集まること自体を楽しめるような、そんな心持ちをイエにも持たせておきたかったので、大満足ですよ」
 


 

——集まる時、集まらない時の切り替えもしやすいように感じました。

奥様「はじめに設計を担当いただいた三池さんに『隠すか、見せるか、大きく決めましょう』とアドバイスをいただいて。確かにそういう方向性をしっかり決定しておくと、後が楽になったように思います。

私たち家族は『見せる』を基本にしました。ただ、それにもルールを設けています。暮らしそのものは見せる。そして不要なものは隠す。そういうメリハリをつけたんです。

暮らしというのは動線を含めた日々の動きについて。例えばリビングからでも浴室のほうに目が向けられるように配置してもいましたし、日々の中で部屋中に目が行き届くことを重視しました。

もちろん、だからといって丸見えにならないような、プライバシー的な配慮はしっかりできています。階段もスケルトンタイプにして視認性を上げました。外から階段部分がガラス窓越しに見えるんですが、そこもあえてですね。ひと気が感じられますし、温かみがでますから」

ご主人「隠すほうはパントリー、作り付けの収納ですね。これらがあると、頭の中も整理ができますし、いざというときにバッとモノを片付けられるので大助かりです。隠したいというよりも、その時に不要なモノをいったん避難させる場所みたいな感覚です」
 

笑顔が増えたイエは
子供たちの帰ってくる場所に。

——8月にイエが完成してもう間も無く1年が経ちます。暮らしは変わりましたか。

ご主人「集まるというテーマはしっかり機能していますね。ゲストが集まった際にも、気持ちよく過ごせていますから。あとは暮らしてみて大きく変わった点でいうと、室内の快適さでしょうか」


 

奥様「それは本当に実感しますね。床暖房をつけてもらっているんですが、冬場は外からの太陽の光が入って、すごく暖かくて。床暖房、実際にはほとんど使わなくて済んだんですよ」

ご主人「エアコンについても昨年の夏はほとんどなしで大丈夫でした。日中に少し電源を淹れるくらいで、朝晩はエアコンなしで過ごせましたね。

イエの大きさでいうと以前のマンションよりも随分と広くなったんですが、光熱費は下がっていますし、長い目で見ると、この差は大きいですね。

イエが建つ前は、夫婦ともに実家は戸建てで、冬は特に寒いという実体験があるんですが、そのイメージが完全に払拭されました」


 

——お子様たちの反応はどうでしょうか。

ご主人「毎日、このイエを遊び倒していますね。以前の住まいの時よりもイキイキしている印象です」

奥様「私たち夫婦の思いがこのイエには詰まっていますが、子供たちにとっても我が家なので、『何かイエに欲しいものはある』って聞いてみたんです。

それで遊び心を入れたいという話になって、網渡しのアトラクションか、ロッククライミングの壁素材か、雲梯のどれかを入れようと決めました。

最終的に雲梯を子供部屋のある3階の天井に取り付けたんですが、心から喜んでいるようで、付けてみて良かったです」
 

 
 

ご主人「家族全員の笑顔が増えたなと思いますね。この集まるイエが、この先、子供たちにとって帰ってくる場所になり、長く愛され続けていってほしいですね」
 

House Producer

SAI建築社
設計チーフディレクター
三池 剛士
 

いつもそれぞれの個性が際立つ4姉妹の笑顔と
おしゃべりが溢れる楽しい打合せでした。
N様それぞれ2人の家に対する思いがはっきりとしていて
空間構成はスムーズに進みました。
光と景色を取り入れる大開口を連続的に取り
2階LDKと3階フリースペースをゆるやかな階段でつなぎ
オープンな空間が家族の集いを強めています。
いつまでも、N様夫婦の周りで子供たちが集い
多くのご友人と過ごす暖かい光景が目に浮かびます。
ありがとうございました。

 

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N様邸写真は
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今月の一杯

【福岡市・早良区】
知味観(しみかん)

町中華のお手本のような西新の名店。


「知味観」との付き合いは20年くらいになります。このお店と出会った当時、僕はまだ大学生でした。店主の愛称はにーちゃん。そしてにーちゃんもぼくら男子学生たちをにーちゃんと呼んだ。互いににーちゃんと呼び合ううちに、いつからか名前を覚えてもらい、大学を卒業した後も、かなりのゆっくりなペースではありますが、通い続けています。



懐かしいから通っているのか。全然そんなことはありません。結構な数のお店を巡ってきた僕の中で、この「知味観」は味と価格を両輪とした名店。昨今、「町中華」という表現をされる大衆中華の店がありますが、ここはそのお手本のような存在なのです。



チャーハンに麻婆豆腐が掛かった「ヤング定食」を筆頭に、唐揚げ、春巻き、エビチリ、酢豚、回鍋肉などなど、美味しい料理がずらりと揃っている中で、僕の心を射止め続けているのが「皿うどん」。大学1年の時に最初に注文した際、パリパリ麺のそれが出てくると思っていたら、この炒めた皿うどんが出てきて驚いたものです。後からこれが福岡で親しまれている、いわゆる博多皿うどんだと知り、図らずも博多のソウルフードに触れられたのも良い思い出です。



 ボリューミーな麺、それでいて具沢山。食べれば食べるほど、どんどん食欲が湧いてくるこの皿うどん。改めて何がこうも夢中にさせているのかと考えてみましたが、それは変わらない愛なんだと思うわけです。ここは学生街。腹一杯美味しいご飯を安く食べてほしい。そんな気持ちが惜しみなく注がれているから、やっぱり惹かれてしまうんですよね。




 
実は飲める一品料理も豊富なお店。ぜひ気軽に中華飲みしたい時にも立ち寄ってほしい街の宝です。

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【住所】福岡市早良区西新5-15-19
【電話】092-823-1233
【営業】11:00〜OS14:00、17:30〜OS20:30
【店休】火曜、隔週月曜
【P】なし
【GoogleMap】

 

4コマ漫画
レッツゴーサイクル

ラブラドール犬のサイクルと建築士のケンちゃんが
繰り広げる微笑ましい暮らしぶりをお楽しみください。

 

【Kanac 】プロフィール
イラストレーター。Web漫画を描いたりwebサイトを作ったりしています。
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